炭火を楽しむ「一日火鉢カフェ」
日時:12月26日(日)AM10:00〜PM7:00
場所:根津藍染め長屋澤田さん宅 「アクセス」はここをクリック
料金:500円(炭チャージとして)抹茶、ほうじ茶はフリー
一日火鉢カフェと同時開催される「ミニえひめ物産展」。
原木椎茸や干物、地酒など、火鉢で焙って楽しむ食の部分が中心ですが、少しだけ工芸品も展示します。
私が個人的に気に入って、これは紹介したい!と思った商品を展示、
または道具として火鉢カフェで使用しながら紹介します。
その一つがこの竹で作られた道後温泉の「湯かご」です。
火鉢カフェの開催場所である澤田さんちの長屋の軒先のねむの木にぶら下げて撮影しました。
道後温泉の復刻湯かご
道後温泉は、宿の内湯の温泉もありますが、なんといっても外湯である道後温泉本館の湯に入って、
お座敷で休憩というのが定番です。 *これは5月の写真です
写真の中の人たちが持っているのが湯かごです(ピンが甘くてすいません)。
宿泊客は浴衣姿でこうした竹の湯かごにタオルや石鹸を入れて、宿から本館まで移動するのです。
でも、一番上の写真のかごとはちょっとデザインが違いますよね。
実は、観光客の皆さんがぶら下げている最近の湯かごは、そのほとんどが中国製だそうです。デザインもこの写真みたいな、太めの竹ヒゴを隙間無く縦横に単純に編んであるだけ。
これはこれでかわいいと思いますが、やはり、最初に紹介した湯かごを見てしまった上で、
どっちが欲しいかと言われたら、やはりこっちですよねえ。
こちらの湯かごは、道後温泉のある松山のお隣、東温市の竹細工の伝統工芸師・倉橋澄夫さんが、
家に残っていた大正時代の湯かごを元に復刻したレトロデザインです。多分、明治の終わりくらいにもあったでしょうから、あの夏目漱石や正岡子規も、
こんな湯かごをぶら下げて道後温泉に通っていたかもしれません。
写真一番左の小さいのが、復刻した大正時代のモデルのもともとのサイズで、
「真籠(まかご)」といいます。
あとの二つは、入れるものが多くなった現代のスタイルに合わせて新しく作ったものだそうで、女性の方が持ち運ぶ物が多いので、一番大きいのが「女籠(めかご)」真ん中のを「男籠(おかご)」としました。
口のすぐ下がちょっと膨れているところとか、適度なすき間が涼しげで、浴衣姿によく合います。
湯かごとしての用途だけでなく、台所において人参や牛蒡や椎茸などの野菜を入れたり、
花かごとして使ったり、ぐい呑み入れにしてもいいし、いろいろ使えそうです。
私もこの湯かご下げて道後温泉入りに行きたい!一個欲しい!
自分が欲しいと思う物は他の人にも教えたくなるのが人情。
そこで、火鉢カフェに持ってこよう!と決めたのでした。
一緒に作っているんだそうで、週末には修行に来るという。
竹細工・倉橋商店を訪ねる〜高2の弟子・光田くん
というわけで、とある12月の土曜日に東温市の倉橋商店に伺いました。
訪ねると、この写真の右側に見える少し開いた木戸の向こうで、倉橋さんと弟子の高校生君が、
いっしょに作業されていました。
こちらが伝統工芸師・倉橋澄夫さん
私の持っているカメラではブレてしまうくらい作業の手が速い!
そこでビデオで撮影しました。
ものすごく上達も早く、見込みがあると師匠の倉橋さんは太鼓判を押しています。
その光田くんがビデオの中で作っているのが、まさに道後の湯かごです。
編む手さばきに感心していたら、「編むのはまだ簡単な方なんです。」と光田くん。
では何が難しいのか?「竹を”ひご”に裂くのが難しいんです。」
倉橋さんのところでは、竹を切りに行くところから自分でやります。
切って来た竹:真竹、黒竹など竹にもいろんな種類があります
切って来た竹は、作る物に応じた太さの竹ひごに裂いていきますが、
このひごを同じ太さに裂くのがとても難しい作業なんです(裂くところの写真がなくてすいません)。
湯かごの場合は3mmくらいの太さでしょうか。
ものによっては、1mmくらいの太さの竹ひごで編んである竹籠もあります。
必要な本数の竹ひごをいちいち測りながら作業するなんてできないので、
もうこれは裂く時の感覚を身体で憶えるしかない。
光田くんは、「僕はまだまだその感覚が身に付いていないんです」と
更なる修行の必要性を語っていました。
たしかに、竹を裂くという作業、もしも私なんかがやったなら、いろんな太さになっちゃって、
何本竹を無駄にすることか。考えるだに恐ろしい。
しかし、技術の高さ云々よりも、高校2年生がそこまでちゃんと考えていることに感動しました。
ちゃんとしてるわ。どうりで清々しい湯かごが作れるわけだ・・・。
ただ、この復刻湯かご、倉橋商店でしか作っていない。
つまり、現在のところ、倉橋さんと光田くんしか作り手がいないので、
あまりたくさんは作れません。
倉橋商店ではほかの品物も作っていますから、湯かごだけにもかかれない。
これはほんの一例ですが、例えば、こんなものを作っています。
来年の干支のうさぎです。
これは、竹細工の蟻のオーケストラ。ガラス越しなので写りが悪くてすいません。
右がメンバーの蟻ん子です。一匹一匹竹のみで作られています。
光田くんも、修行中の今はなるべくいろんな種類のものに挑戦したいとのことなので、
おのずと復刻湯かごの生産量は限られます。
というわけで限定数しか作れないということですが、
どうしても欲しい!と思われた方は倉橋商店もしくは愛媛県の物産を集めた
「えひめイズム」にも置いてあるので問い合わせてみてください。
実物は、来たる12月26日(日)の一日火鉢カフェに登場しますので
一度是非ご覧になって見て下さい。
ちなみに、湯かごの下に敷いてある鯛の柄の手ぬぐいも愛媛県で手に入れました。
私の実家のある八幡浜市で江戸時代から大漁旗を染めている若松旗店というところで作っています。
広げると、細長い手ぬぐいに、この赤い鯛が2匹。お正月に向けておめでたいでしょう。
これも欲しい方は「えひめイズム」に置いてあるので、聞いてみて下さい。
<問い合わせ>
倉橋商店(東温市)
TEL 089-966-3871
えひめイズム(松山市)
Fax.089-993-7567
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