2011年4月19日火曜日

「国際森林年国内委員会」傍聴に行ってきました!国際森林年を震災復興に役立てるために。

今年は「国際森林年」だということ知ってます?
毎年国連で「国際○○年」つうのが決まってるんだが、それの今年版が「国際森林年」。

この「国際○○年」で私の記憶に残っている最も古いのは、1975年の「国際婦人年」で
田部井淳子さんたちが世界初の女性によるエベレスト登頂を成し遂げた年。
たしか、りぼん掲載の土田よしこの名作漫画「わたしはしじみ」に
田部井さんたちのことが採り上げられていて、小2にして、そんなことをたまたま認識していた。
1979年「国際児童年」には、当時人気のゴダイゴが「ビューティフルネーム」というテーマ曲を歌っていて、
この曲のヒットで、国際児童年は結構知られていたと思う。
1983年の「国際コミュニケーション年」は、
この年散開したYMOの「以心電心You've got to help yourself」がテーマ曲。
YMOファンであった(今も)私は、この曲によって国際コミュニケーション年というものを知った。
テーマ曲はNHKで頻繁に流れていて、知らず知らずに耳に入っていたのだ。
当時は「国際○○年」に政府も力入れてたのかなと思う。

最近では予算削減なのかこういう広報ほとんどない。ちなみに去年は「国際生物多様性年」。
名古屋でCOP10第10回生物多様性条約締約国会議が行われたにも関わらず、
マスメディアではあんまり話題にならなかった。

今年の「国際森林年」、地球温暖化の問題もあって、森林再生は急務なのだから
もう少し政府もアピールすればいいと思うのだけれど、予算がつかないのか、
一般の人はほとんど知らないのではないだろうか。

そんな中、4月14日、農林水産省で「第2回国際森林年国内委員会」が開催されたので、その傍聴に行ってきた。もちろん、東北関東大震災を踏まえて、今回の議事テーマは「国際森林年を震災復興に役立てるために」だ。
原発事故が人々を不安に陥れている今、建築物の復興だけでなく、森林をエネルギー源として考えることは急務だ。

こういう委員会がどのくらい役に立ってるのかわからないが、
行政の中でどういうことが語られているのか興味もあって参加してみた。
もちろん、「火鉢クラブ」として、自然エネルギー促進、森林再生を考える立場の私としては、
テーマに興味があるのは間違いない。

委員の顔ぶれは以下の通り、国際森林年が知られていない割りには豪華
(にしても、こういうのってどうやって決まるんだろうね?)。

(五十音順、敬称略) 
赤池  (ユニバーサルデザイン総合研究所所長) 
天野 礼子(作家) 
飯塚 昌男 (日本林業協会会長) 
出井 伸之 (美しい森林づくり全国推進会議代表)
井上篤博(セイホク株式会社代表取締役社長) 
内山斉 (日本新聞協会会長) 
大久保尚武(経団連自然保護協議会会長)
草野満代  (フリーアナウンサー) 
坂本龍一  (音楽家、モアトゥリーズ代表) 
佐々木 (国土緑化推進機構理事長) 
 .   .ニコル(C.W.ニコル・アファンの森財団理事長) 
多田欣一(岩手県住田町長)
仁坂 吉伸 (和歌山県知事) 
沼田 早苗 (写真家) 
速水   (速水林業代表取締役社長) 
広瀬 道貞 (日本民間放送連盟会長)   
  岱造 (日本森林学会会長) 
三村 明夫 (日本プロジェクト産業協議会会長) 
宮林 茂幸 (東京農業大学教授) 
養老 孟司 (日本に健全な森をつくり直す委員会委員長)

たった1時間の委員会で、全ての委員が発言したわけではないが、発言した委員の意見は、”これが実現すれば”日本は良くなるのになあというものがほとんどだった。

個人的には養老さんの話を聞きたかったのだけれど、発言の機会無く、残念。
ただ、他の委員の発言から、養老氏が唱えている「参勤交代論」の話が出た。
この「参勤交代」は、都会と田舎を行ったり来たりすればいいんじゃないということ。
例えば、アッパークラスの収入が多い人間は、山村地域にも家を持てば、
田舎にも住宅需要が生まれる、つまり、木材需要も生まれるってこと。
私自身、田舎の実家と東京を行ったり来たりできたらいいなという思いもあって
出島プロジェクトを始めたわけで、このアイディアは賛成!

その他、委員の発言の一部を私の感想も交えつつ紹介する。

<岩手県住田町 多田欣一町長>
多田町長は震災を受けて今回から委員になった。
住田町自体は震災による大きな被害は無く、隣町である大船渡、陸前高田の後方支援を行っているが、
その一環として、地元国産材による木造仮設住宅建設を進めている。
当初、仮設住宅案件は県の範疇、町が隣町のためにやるなんてダメだと各方面からずいぶんお叱りを受けた。
しかし、進めていくと、資金面で支援するという民間団体も出てきて認められ始めた。


なんと、この仮設住宅を請け負う地元第三セクターは、町長の意向を汲んで、
発注前、すでに図面をつくっていたとか。すばらしい!
誰がお叱りになられたかは知らないが、実行力のあるリーダーの前には、
結局黙らざるを得ないという好例だ。


さらに町長曰く、
「小さな町の大きな挑戦だと思ってあえて木造の一戸建て仮設住宅を造っている!」
やるなあ〜。地方自治体あなどれずだ。


誰かが言ってたけど、やっぱりこれからはネズミが象と同じ土俵で戦う時代なんだなあ・・。
東京電力やJALなどの大企業がのきなみ醜態を晒しているだけに感慨深い。

仮設住宅の建設に関して、国交省は基本的にプレハブ協会に建設要請を行っているが、
この方式だと、地元工務店に仕事がまわらない可能性もあることが、
ツイッターでつぶやかれている。
地元工務店を使う事が一番の復興の早道なのに、手続きの煩雑さゆえ国はプレハブ協会なのだろうか? 震災前からこういうことを想定して地元工務店を使う方法を模索していれば、
他の自治体にも住田町のようなことができたろうに。
今後、地方自治の時代に向けての課題である。

今回の住田町のプロジェクトに協力しているmore treesのブログに
この仮設住宅の建設風景が出ているので是非見てみて下さい。

また、この住田町の仮設住宅建設資金を応援したい方は、下記のサイトからどうぞ。

「FSCジャパン震災被災地復興支援緊急募金」http://www.ichise.co.jp/2011/04/06/

  *FSCとはForest Stewardship Council 森林管理協議会のことです

多田町長によれば、将来的に自力再建が難しい世帯には、
恒久住宅として提供する事も模索するということだが、
今後、地震の活動期に入るといわれている日本の住宅は、
このくらいシンプルなものでいいのではないかという気がする。


マスメディアは、国と県の進める仮設住宅のニュースばかり流すんじゃなくて、
こういう画期的な試みを採り上げて欲しい!


ほかにもこうした国産木造仮設住宅の斬新な企画を推進している団体はあって、
田中優氏らの「天然住宅」が、将来の増築移設が可能な、
「仮設じゃない”復興住宅”」というプロジェクトを開始している。
これにも注目です!
詳しくは「天然住宅バンク」のサイトをhttp://www.tennenbank.org/



以下、完結に委員会での各ご意見を紹介する。


<大久保尚武 経団連自然保護協議会会長>
○個人的な提案との前置きで、三陸の海岸線に、各企業が資金を出して緑の回廊のような森を作れれば。
東京都がやっている海の森のようなかたちでやれば、5億円で100haできる。
50億円くらいあれば、被災地に新しい森ができるのではないか。


<仁坂吉伸 和歌山県知事>
○なかなか林業では採算が取れないが、それを解消するには、
間伐が経済的にできることが仕上がりの姿だと思っている。
部分かいばつがやや採算ラインに近い。
しかし、自然災害 などのことを考えても、本当の間伐ができるようになる事が大事。


→なら、私からは皮むき間伐をおすすめしたいです!
「皮むき間伐体験記」http://www.dejima2010.com/2010/07/in.html


○国際森林年が今年なのに、今年こんな事をやってる事がおかしい。
でも、もうありものでやるしかないので、
和歌山県でやる植樹祭を国際森林年風に脚色したい。


<出井伸之 美しい森林作り全国推進会議代表>
エメージェンシーアクションという意味で、支援の緊急性への政府対応に疑問。
また、政府には復興へのグランドビジョンがない。
日本列島を中国や海外の国々が羨むような国になるようなグランドビジョンを持って欲しい。
その中で森をどうするかという考え方をして欲しい。
原発の怖さはわかったので、森と代替エネルギーをからめて語るべき。
森の間伐のための道の脇に太陽光パネルを敷くなどの、はかない抵抗でもいいので、
外国人が羨んで日本に視察に来るようなグランドビジョンをもってほしい。


<赤池学 ユニバーサルデザイン総合研究所所長>
震災復興のその先の価値開発を。
国際森林年を日本刷新の本格的な議論の機会にして欲しい。
日本の家作りどうするのかを考えると、
伝統工法を使えない現状の建築基準法がどうなんだという話になってくるはず。
養老先生のおっしゃる参勤交代論など、ライフスタイルや山村のあるべき姿とか考えたい。
バイオマス路線の普及も含めて、電力自由化のことなど、
骨太のエネルギー議論をできる機会にしてほしい。


<C.W. ニコル 氏>
家のぬくもりは「火」。安全で安くて頑丈な薪ストーブを考えた。
石油やガスが無い場所などでは便利。またチープな石油やガスのストーブは危ない。
それを考えるとこのストーブはいい。こうした器具のイノベーションも考えて欲しい


田舎に住みに来てよ!


<天野礼子 氏>
「三陸バイオマスタウン構想」というのを総理に提出した。
木材の乾燥は今、90%以上は重油でやっているが、中には木屑を燃やして
木質バイオマスエネルギーでやっているところもある。そういうことをやってはどうか。
養老さんのやっている参勤交代論の一形態に近いが、紋別市が港区に対し、
もし港区で災害があった時には、紋別の木材と資材を供給する、
また、災害がひどい時には港区民は紋別においで、という契約を結ぼうとしている。
都会の人間は田舎にも逃げ込む場所を作っとこうという提案を林野庁からもして欲しい。


<飯塚昌男 日本林業協会会長>
民主党政権は100万人の雇用を作ろうと言っていた。この機会に被災者を雇ってほしい。また林野庁として、林業の現場に雇用を作って欲しい。
生椎茸の風評被害があるが、こういうことを広報する場合、だめだというなら、
補償の方法を明示してから広報して欲しい。


<佐々木毅 座長>
今年の夏は再び計画停電に直面するかもしれず、森林保全啓発のプランを考えてもいいかなと思う。




委員会の内容は以上。


割愛した人もいるが、だいたいはこのような意見だった。
これらの理念が実現されれば本当にいいことなんだけど、
仁坂和歌山県知事も言っているように、今年が国際森林年なのに、
今頃こんな会議やってるってどういうこと?との感は否めない。
この意見が行政の手にかかりどのように実践されるかは未知数だ。


今回の委員の話の中では、行政の慣習を破って反発にもめげず独自の仮設住宅を作っている
岩手住田町の多田町長の話がもっとも興味深かった。
最初は批判を浴びても続けていれば、政府も認めざるを得なくなって、
こうして国際森林年の国内委員にまで選ばれるのだ。
みなさん、自主規制なんてしないで信念貫きましょう!


というわけで、私は政府に頼らないで、ぼとぼち独自でプランを進めて行くとするか・・。


「火鉢クラブ」では、前回4月9日10日に行った第3回火鉢カフェに続き、
しばらくのあいだ「電気が無いなら炭を使おう」のコンセプトで、
イベントを企画したいと思っています。


火鉢クラブは火鉢や炭火のみならず、日本の伝統的な住環境の心地よさを
現代に生かすことを目標としています。
夏の暑い時は、「電気無しで涼を感じる」をテーマに
火鉢カフェ夏バージョンを企画する予定です。


イベントはこのブログで告知しますので、よろしくお願いします!




追伸:
ところで、いまさらだけど、モアトゥリーズやってる坂本龍一氏とか小林武史氏とかミスチルとかで「国際森林年」のテーマ曲作りませんか!私的には、「ONGAKU」みたいな曲希望!


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