こんな火鉢カフェを作りたい!

2020年、オリンピックが終わって東京に寒い冬が来る前に、
みんなで炭火を囲んで語り合える場所を作りたい。

火鉢クラブの野望のひとつが常設の「火鉢カフェ」を作ること。今回、その野望に向けての第一歩として活動資金を募るクラウドファンディングを開始しました。そこで、現時点で私が作りたいと思っている「火鉢カフェ」とはどういうものかをご説明したいと思います。炭火を囲めるカフェというだけではありません。現時点での構想を以下にまとめました。

①日本家屋の良さを取り入れる


【日本家屋の良さを取り入れた喫茶空間①〜土間と小上がり】

火鉢カフェというくらいだから、日本家屋の良さを知ってもらえる空間にしたいと思います。土間から続く小上がりがあって、座敷へ。日本の家の良さの一つは、家の外と中をつなぐ曖昧な空間があること。縁側や小上がりは、「ちょっとだけ寄ってくね」というときに、軽く腰掛ける場所として、訪問のハードルを下げ、人を受け入れやすくします。立ち話よりはくつろいで、かといって上がり込むわけでもない。そんな人と人の交流を促す日本独特の空間のあり方ではないかと思うのです。火鉢カフェは、小上がりにちょっとだけ腰掛ける人もいれば、座敷でゆっくりしていく人もいる、かと思うと、店先の縁台で風に吹かれている人もいる。そんな日本家屋の様式をうまくとりいれた喫茶空間作りを目指したいと思います。土間にはテーブルを置いて、上にミニ七輪を。座敷には火鉢に座布団を置いて。広ければ、囲炉裏も切りたいですね。現代の暮らしの様式と伝統的な様式が融合する炭火を囲む喫茶空間が理想です。


目指すのは「ちょっと寄ってく」ができる気軽な茶店

店先に縁台を置き、そこに座るのはオーダーなしでも自由。小上がりの角にちょっと腰掛けて、一言二言世間話してくご近所さんがいたり、老若男女誰でも気軽に立ち寄れる、敷居の低い喫茶空間が目標。ご近所のお年寄りの安否なんかも気にしつつ、町の拠点になると嬉しい。



【日本家屋の良さを 取り入れた喫茶空間② 〜障子の陰翳を感じられる空間に】

障子を通した光の美しさを知ってもらいたいという思いもあります。現代、和室がダサいと敬遠されるのは畳の部屋にカーテンをかけているからだと思うのです。畳の部屋は障子を入れた途端に、モダンに生まれ変わります。雨戸がないと、朝はちょっと明るいけれど、その柔らかな光に包まれた美しさこそ日本家屋の本当の美。
陰翳礼讃。天窓に入れるもよし、雪見もよし、足元から光が漏れるのも…。
障子の良さも知ってもらえる空間にしたいと思います。

上記にあてはまるような物件探しはかなりむつかしいと思われますが、倉庫などの
がらんどうの土間スペースに簡易小上がりを作った和洋折衷感覚の空間に障子屏風を置くなど、条件に合わせ、費用のあまりかからない可能な範囲での空間作りを検討したいと思います。

【夏はどうする①…伝統的な涼み方を紹介〜油団を敷く〜】

お店の庇(ひさし)を長くしたり、すだれをかけたり、風鈴や釣り忍をかけたり、ほかにも、敷くだけで室温が下がるという油団(ゆとん)という和紙の敷物を設えるなど、日本の伝統技術や工芸品で涼む方法を提供。時には氷柱も立てたいですねえ!ちなみに、「油団」は和紙を重ねて刷毛で叩いて作る「表具」の技術で作られています。今では福井県鯖江市の紅屋紅陽堂さん1軒でしか作っていないようです。十数枚の和紙を重ね、えごまの油を染み込ませ、刷毛で叩いてそれを一枚につなげていく。気づいたら数ミリの厚さのカーペットができていて、和紙を自在に扱う表具の技術に脱帽です。大切に使えば100年使えるといわれるほど丈夫な敷物。以前開催した古民家の納涼会の時にお借りして敷いたのですが、座るとひんやりして大評判でした。表具と言っても今ではピンとこない方が多いかもしれませんが、これこそ、掛け軸の表装技術として日本の美を守ってきた大切な技術。そういうことも伝えられる場所でありたいなあと思います。

油団については、過去、納涼会をやったときの記事に少し書いていますので、そちらもご参照ください。










【夏はどうする②〜夏の夕涼み、縁日の気分】

 
 夏にも恋しくなる火はあります。縁日の屋台でイカを焼いたり、たこ焼きを焼いたり、夏祭りの宵の気分を盛り上げてくれる火です。火鉢カフェの夏はそんな縁日の気分を取り入れ、店先に七輪を出して、炭火でイカゲソ焼いたり、メザシを焼いたり、縁台で一杯やれるスペースを作るのが夢。間口が広くて、軒先が広い物件を探したい!

【茶室とは何かということも考えてみたい】

利休の待庵や織部の燕庵みたいにセレブが集い、時代を動かす話をするわけじゃないけれど、人が集まり、会話が生まれ、情報が飛び交うところに茶室あり。それが今ならさしずめカフェでしょうか。火鉢クラブを始めたのは茶の湯で使う「茶の湯炭」との出会いがきっかけ。火鉢カフェをつくるなら、茶室についても勉強して、現代のカジュアルな茶室ってどういうものかということも考えてみたいと思います。
*  会報誌「空飛ぶ火鉢」では「火鉢カフェへの道」というコーナーをつくり、
 お手本になるような気持ちのいいカフェを紹介。素敵な既存のカフェから
 火鉢カフェに取り入れたいエッセンスを学んでいきます。


②炭火を楽しみ、火の大切さや炭の素晴らしさを伝える

【炭火を囲むことで生まれる老若男女を超えたコミュニケーションや美味しい食を楽しめる場に


1. 炭火で焙って美味しいメニューを提供します。

  皆で寛ぐための空間でもあるので、焼肉屋のような焼き物ではなく、油が落ちず、煙の
  出ないメニューを提供。良い素材を使った、本当に美味しいものをお出ししたいと
  思います。
 会報誌「空飛ぶ火鉢」にて「火鉢カフェへの道〜メニュー&レシピ編」というコーナーで、将来、火鉢カフェで提供したいメニューを考え、レシピとともに紹介しています。メニューとレシピ作成には2016年ミシュラン富山石川版で料理一つ星の「湯宿さか本」さんが協力して下さっています。



「さか本」の火鉢で炭焼きサンドを作りました。ワカサギのフライを挟んで!


2.火鉢まわりの伝統的な道具を楽しむ

   *焙烙(ほうろく) …お茶の葉やごまなどを焙じる道具。出来立てのほうじ茶を。
   *銅壺(どうこ)…火鉢の炭の傍に置いて、お銚子をお燗する道具


3.食材は舌にも身体にもやさしいものを

   さらに、伝統的な製法の調味料や発酵食品、無農薬野菜、よい油など、
   実際に使って良いと思った食材を使用、紹介し、そうした生産者を応援します。



【火鉢や七輪の使い方、火の扱い方を伝授

〜被災時に備えて】

災害時、インフラが停止した場合の熱源として、
七輪常備、炭の備蓄を勧め、使い方をレクチャーするイベントや情報発信を行います。



【炭から考える  エネルギーと茶の文化】

「炭」を焼くことは森林の間伐を促し、森林保護にも繋がります。火のある暮らしを体験する火鉢カフェでは、「炭」のほかにも、自然エネルギーなどの情報や、人間と火の関わりの歴史、また、「茶の湯炭」を入り口に茶の湯の文化など、広く「喫茶」につながるテーマの情報発信を行いたいと思います。

 

③地域ともちつもたれつなカフェ

こういうとき、普通は「地域に寄り添う」と書くのだと思いますが、火鉢カフェは「もちつもたれつ」、ときに「もたれかかりたい」と思います。地域の方に助けてもらって、いろんな新しいことに挑戦できればと思っています。


【その①  飲食のもちつもたれつ】


1. 地域のお菓子屋さんマップを作成し、地元のスイーツは持ち込み可とする。

2.近隣地域の飲食店さんに試作メニューの試食会など出張出店してもらい、
 店を宣伝してもらう等
 
メニューを充実させる労力を地域に一部肩代わりしていただき、そのかわり、火鉢カフェで自らの店をアピールしていただくなど、もちつもたれつな関係が作れればなどと妄想しています。スイーツ持ち込みについては、かつて、行列のできる洋菓子屋の近くに住んでいたとき、外のベンチでお皿もフォークもなく手でつまんで食べてる方がたくさんいらしたのをよく見かけ、ここに持ち込み可のカフェがあったらいいのにとずっと思っておりました。本来なら上野公園あたりに、そういう場を作ってくれればいいのですが、どうも無理そうなので、もう自分でやっちゃおうと思ったりしている次第でございます!


【その② 知恵と知識のもちつもたれつ】火鉢寺子屋


1.カフェの一角で子どもが無料で勉強を教われる「火鉢寺子屋」を開催。

 
お茶代サービスだけのボランティアで教えてくれるお客さん募集!(私もやります!)こちらから授業をやるのではなく、子供達がもってきた疑問に答える形の寺子屋をやってみたいのです。学校以外で、お金がなくても勉強を教えてもらえる場を、店のほんの一角でもいいから作りたいと考えています。
かつて、テレビのディレクターとしてニュースの解説ボード作ったり、受験問題を解く番組の解説書いたりしていた経験を生かしたい!

2.その他、図書スペース、ギャラリースペースなど、店内を有効活用します。



④カフェとはメディアである〜様々な情報発受信の場に

会社勤めを辞め、近隣のカフェや喫茶店に頻繁に通うようになって、つくづく思うのは、カフェや喫茶という空間は小さなメディアだということ。一つのコンセプトに貫かれた一冊の雑誌とか番組のようなものだと思うのです。  
お店で出す飲み物や食べ物の情報、インテリア、置いてある雑貨などお店側が発する情報はもちろんのこと、そこで交わされる会話やそこから眺める街の風景は日々変化する、生で最新の情報を届けてくれます。店内の雰囲気や、訪れるお客さんのファッションや会話の内容は刻々と趣を変え、いわゆる最先端ではなくても、まさに時代の変化をまっさきに感じ取れる場のような気がします。しかも、普通のメディアと違って、お客さんは目の前にいる。反応を目の前ですぐに感じられる場所で、面白いと思ったことをなんでも発受信する。
インターネットで匿名の情報がやりとりされる時代、対面で情報をやり取りできる場を作りたいと思います。


1.イベントの企画・実施〜インターネットラジオ番組配信なども視野に〜

 音楽、落語、講演会、読書会、ただの茶話会など、火鉢クラブとして興味を持
 ったテーマならなんでもとりあげイベントを開催。要は面白いことならなんで
 もあり!テレビ番組制作での経験を生かしたいと思います。


2.情報掲示板で情報交換

 近隣で(遠くても)行われるイベント情報など、
 街の回覧板的な掲示板を店内に。

3.会報誌「空飛ぶ火鉢」やネットでの情報発信

 日々の暮らしの中で発見したこと、心を動かされたことを書き留めるために、「空飛ぶ火鉢」という冊子を作りました。年に2回のペースで発行予定。常設の火鉢カフェができたら、そこでキャッチした情報も掲載したいと思います。

 
現時点ではこういうアイディアを持っていますが、多分、これからもいろんなものを見聞きして変わっていくんだろうと思います。みなさまもこんな火鉢カフェがあったらいいなというご意見ご感想よろしくお願いします!

最後に〜火鉢カフェ設立までの活動

火鉢クラブはここに書いたような常設の「火鉢カフェ」の設立をおよそ3年半後を目標に、それまでの間は、今回行っているクラウドファンディングの資金を利用して、既に創刊している会報誌「空飛ぶ火鉢」の内容の充実をはかり、炭火を囲むイベント、撮りためた都心の自然の写真の写真展、オリジナルグッズの制作などを行いながら、資金の積み立て、場所探しなどを行う予定です。

現在、開始しているクラウドファンディングのリターンとして、上野のブックカフェスペースでの七輪ブランチの会を企画していますが、このほかにも浅草の書店で上野不忍池の写真展を企画中。写真展のクラウドファンディングも計画中です。




これまで7年間、火鉢クラブの活動を行ってきた谷中、根津、千駄木地域や上野、浅草周辺など東京の東側のカフェや書店、古書店、古民家保存団体などと、お互いの良い部分をアピールできる形で連携し、いろいろなことをやっていけたらと思います。

このあたりに住み始めてはや25年以上。
不忍池の蓮の春夏秋冬の姿と、隅田川に映る町あかりを眺めながら、残りの人生も過ごしていきたいと思います。そして、この風景を火鉢カフェを訪れる人にも眺めて欲しいと思うから、やはり、この2つの場所からそう遠くないところに火鉢カフェはつくりたい。かなり大きな野望ではありますが、
みなさま何卒ご協力よろしくおねがいいたします。
                       火鉢クラブ 中村有里




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