2012年8月8日水曜日

【職人のしごと】小石原焼・飛び鉋と森山寛二郎さんの器

このブログ「火鉢クラブ」では、私が出会ったいろんな職人さんの仕事も紹介していきます。今回は陶器です。

ある日の朝ご飯。暑い夏の朝、修行僧のようなご飯にしたくて、玄米粥を炊いたものの、それと漬け物だけではやはり物足りない気がして、小さいながら鮭のカマを焼く。そこに胡瓜の辛子漬け、山椒入りの海苔佃、練り七味、梅干し。発芽玄米の玄米粥はリゾットのごとくに水分を極力煮詰めたどろりとしたお粥。なかなかにさっぱりした夏らしい朝ご飯でしたが、今回の主役はこのご飯ではありません。紹介したいのはこの器、小石原焼。

このタイムトンネルみたいな渦巻き柄は「飛び鉋(とびがんな)」といいます。



窯で焼く前の生乾きの生地を、ロクロの上で回しながら、金属を当てて、ちょんちょんと模様を付けていく技法です。このように等間隔にきれいに模様をつけるのには修行が必要とか。

このところ、小石原焼は人気で、飛び鉋の器はコムデギャルソンのドーバーマーケットのカフェの雑貨の売店でも見かけました。小石原styleというウェブサイトもできて、小石原焼の若い作家さんたちの作品がいろいろと紹介されています。この小石原焼、若い作家さんが結構いるのですよ。

冒頭の写真の茶碗とお皿は、そんな小石原の窯元「實山窯」のもの。下の写真は小石原焼の若手作家の一人で實山窯の森山寛二郎さん。父・森山元實さんと小石原焼を日々作っておられます。
時々、秋葉原と御徒町の間のJRガード下にある2k540 AKI-OKA ARTISANのイベントに出展されていて、飛び鉋の器はこの2月に出展されていたところを購入しました。早くこのブログに掲載しようと思いながら延び延びに。

森山さんとの出会いはそれより以前、去年の何月だったか…、同じ2k540で出展されていたところ、下の写真の酒器に目が留まり、購入したのがきっかけです(ベランダで撮ったので洗濯かごが映り込んでますね。ガサツですいません^^;)
銅の茶色い取手が本体の青白い釉薬の色ととても合ってますよね。まん丸い胴体にタコのような細い口がついた可愛らしい甘さに金属の取手が適度にクールな感じで、これは和でも洋でもいける!と思って悩んだ末購入しました。悩んだというのは、当時仕事を辞め、彷徨っているまっただ中だったもので、確か8000円か9000円くらいだったかと思いますが、その頃、こういうものは一切買っていなかったんです。かなり悩みましたが、それでも買ったのは、やはりこの森山さんのデザインセンスをちゃんと記憶に留めておきたかったからだと思います(この酒器は寛二郎さんのオリジナルだと思います)。


 それがきっかけで、今年2月再度の出展のDMをもらい、伺ったところ、今回はこの飛び鉋に心が動いたというわけです。こちらは、たしか、お皿と茶碗合わせて3000円台。

ほかにも色を入れたお皿や、徳利とおちょこなど欲しいものはいろいろあったのですが、まだまだ節約期間の私はぐっとこらえ写真だけ撮らせてもらいました。


伺ったときは最終日の閉店間際で、最初はもっといろいろな商品があったと思われます。

下の写真に値段札がついているのも、閉店間際で時間がなくあわてて写真を撮ったため。ここも粗忽者な私の悪いところ。すいません森山さん・・・。



  
小石原焼の飛び鉋は、たいていの小石原の作家さんが作っていると思います。私はそれほど小石原焼に詳しいわけでもなく、まだ数軒のお店で飛び鉋の陶器を見た程度ですが、その中でも森山さんの器は、その大きさとか形とか、微妙にいい感じを醸してお気に入りです。単に自分の好みというだけなのかもしれませんが、例えば、下の写真を見ても分かるように(冒頭の器と同じものです)、大降りな茶碗は、卵掛けご飯をするにもこぼれたりせず、具沢山の汁物を入れるのにも重宝します。ただ使い勝手がいいというだけでもありません。器の形や飛び鉋の模様の入り方も丁度バランスがいい。手に取ったときの気分というのか、このデザインから感じる心持ちは、先の酒器に感じたような、可愛いんだけれど甘過ぎない微妙なクールさも混じったユニセックスな感じというのでしょうか。多分、そのユニセックスな感じが現代を感じさせるのだと思います。

いや、ユニセックスが現代を感じさせるというより、ユニセックスはいつの時代においてもモダーンなんじゃないか・・・そんな気がします。なんでそう思うかはまた別の機会に置いておくとします。なんだか大げさな言い方になってしまいましたが、モノを気に入る時ってそんなもの。


ところで、左の写真も森山寛二郎さんの作品。こうした白淡い釉薬も小石原焼の特徴。たしか、稲藁からとった釉薬でこの色が出ると言われていたと思います。釉薬と色の話はまた興味深いところですが、その話もまたの機会に譲るとして、今回はとりあえず、飛び鉋と森山寛二郎さんの紹介にとどめておきます。

私の独断と偏見による感想。陶器に詳しい方が見たらどう思われるか微妙ですが、使うのは自分。気に入ったもの勝ちですよね!

そうだ、最後に飛び鉋の模様がどういう風に入れられるか、森山さんの作業風景ではないのですが、youtube上にいくつか動画があったのでリンクします。この飛び鉋は小石原焼「マルダイ窯」の太田さんという方が実演されています。ちょっと感動です!


小石原styleウェブサイト



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