2012年6月2日土曜日

『花は野にあるように』スタート


ブログ久々の記事は新しい企画で始めようと思います。
今日から「花は野にあるように」と題した、新たなカテゴリーを作りました。

千利休の利休七則のひとつ「花は野にあるように」

この有名な利休の言葉は、「あるがまま」ではなく、自然の美しさの本質を汲み取って自ら組み立てなおし、花を野に「あるように」生けるということだそうです。けれど、自然の美しさの本質をつかむことなど一朝一夕にできることではありません。そこで、自然の美しさとは何かを知るために、日々、身近な野の花を見つめ、写真に切り取る事で、「野にあるように」とはどういうことかを学ぼうというのが、この企画の目的です。言ってみれば「花をいけない、いけばなのおけいこ」です。


なにゆえにこんなことをしようと思ったのか

まずは、こちらの写真を見てください。

ツワブキ、もみじ、萩から名前の分からない雑草まで。いろいろな草花がわしゃわしゃと地面から生えていますが、すべて勝手に自生したものです。なんだか絶妙な配置の寄せ植えのようには見えませんか?このまま草盆栽として鉢に移せば立派に部屋を飾ってくれそうです。多分、もみじがあることが雑草っぽさを抑えているのだと思いますが、このまだ小さなもみじも、いつのまにか生えていたもの。言ってみれば雑草です。

勝手に生えた草花の配置が、そのへんの人為的に作られた寄せ植えよりも美しい事実。あるときそれに気づいてから、一種類の花を眺めるのではなく、周辺の複数の植物込みで眺めるようになりました。時におのれ生えの雑草の固まりは美しいいけばなのようでさえあります。

余談ですが、この写真うちのお墓です。山の斜面の墓地にあり、地面にはコンクリートが敷き詰められていません。改修する資金が無いため昔のまんま。敷石の間に土の地面が顔をのぞかせていて、お参りに行くたびにこのように草が伸び、絡まり合っています。そのせいでしょう、うちではお墓に行くことをお墓参りと言わず、お墓掃除と言っています。しかし、掃除とはいうものの、草盆栽の寄せ植えのように美しい植物を一掃するのも忍びなく、一部そのままにしていたりもします。

この草花の群生をことさらに美しいと思ったのはお墓という特殊な場所のなせるわざかもしれませんが、今こうして、これを企画にまでしようとしているのですから、ご先祖様の思し召しかもわかりません(笑)。


誰が植えたわけでもない、自然にどこからか種が飛んできて勝手に生えた植物。ひとつひとつの草花それぞれが美しいだけでなく、いくつもの植物が重なり合うその偶然の配置は、まるで誰かがいけばなをいけたように美しい。そう気づいたとき、はじめて「花は野にあるように」を意識しました。作為や邪念の無い無為を目指せというのはこういうことなのかもしれない。無我の境地に至るとは美に至るということなのでしょうか。

なんだか、わかったようなわからないことを言ってしまっています。

せっかくだから写真をもう一つ。
こちらは、ある旅館の裏の林にあった木の切り株。自然に苔がはえ、その割れ目からツユクサらしきものが生えています。向こうにはミズヒキ草でしょうか?


たまたま見つけた複数の植物のコラボレーションをどうカメラで切り取るかにも、人それぞれの美意識の違いが表れます。こうしてカメラで道端の自然を切り取る作業によって、実際に花をいけることがどれほど上達するかは定かではありませんが、まずは見て選ぶことから始めようと思います。

道ばたに生える草花、散る花びら、枯葉などなど、特に野山に出かけるわけではなく、近所の公園やお寺の境内、道ばたの草花などなど、都内で見つけたものを中心に紹介します(もちろん野山もありですが)。中には、枯れ葉が敷石の上に散ったさま、塀を這い上がるツル植物など、人間が作ったモノとコラボして美しさを醸しているものもあります。まるで素敵な花器にいけられた花のようです。

しかし、当面、実際のいけばなへの応用はやりません。本当に自分の心が震える美しいものとは何かに気づくことくらいが目標です。とりあえず、「おっ!」と思ったらシャッターを切ってみます。でも、気が向いたらいけばなもやってみたいですね。あくまでも心の赴くままに。楽しいと思えるように。

口上が長くなってしまいました。
カメラはきちんと使いこなすほどの技量ではなく、ほとんどがオート。数百枚撮っても、使える写真は数枚ですが、そちらの上達も願いつつ、次回からは去年の秋から撮ってきた写真を掲載し、なぜそれを美しいと思ったか自分なりの分析をくわえていこうと思います。

とはいえ、ただの花の写真じゃないか・・・という気もします。散歩中に道端の花の写真をとってアップすることは多くの人がやっていること。「新しい企画」とまで銘打ってやることか・・・。ま、いいか。とにかく始めます!





2 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

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  2. ありがとうございます。いよいよ本編VOL.1「アジサイのブーケ」掲載しました!

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