2016年1月18日月曜日

花森安治の暮しの手帖〜失われた40年

今日、1月11日に谷中に開店した本屋さん「ひるねこBOOKS」へ。火鉢クラブの冊子を置いてもらえることになったのだが、そこで出会った「暮しの手帖」のバックナンバーの目次に感動して、2冊購入。1969年winter号と1970年early spring号。私が生まれて間もない頃に出たものである。

1969年の方の目次には、「岸恵子さんの一着のスーツ」などもある一方で、花森安治の署名で「テレビ番組提供者の責任について」なんてのもある。1970年のほうには「洛中洛外図屏風」なんて、現在の雑誌「和楽」のような記事もあるかと思えば、「サトーを甘くみるな」という砂糖の害についての分析特集記事がある。また、花森安治署名で「医は算術ではない」なんて記事もあり、保険の点数制で、やたらの検査や注射や採血ばかりするようになった医者への批判などが述べられる。医者にとって、患者とはなにかと問う。これって、まさに今、私たちが問い始めていることではないか?
この頃、「暮しの手帖」とはこういう雑誌だった。
これ以降の40数年、日本はバブルと失われた20年を経験した。その間、高度資本主義化していく世の中に対して、花森安治が投げかけた疑問は棚上げにされて来たということだ。
もちろん、記事の内容には、今考えれば古いなと思われる部分もある。けれど、最近徐々に言われ始めた「砂糖の問題点」をこの頃すでに指摘していることなどを見ると、私たち日本人が、その後の大量消費社会の物の洪水の中で、いろんなものを見落として来ていることに気づかされる。
私が「火鉢クラブ」でやりたいことはまさにこれなのだ。
素敵な暮らしは、正しい世の中の批判の中から生まれるということを花森安治の作った暮しの手帖の目次を見て、再認識した。
…と書きながら、こういうネタバラしをしてしまうところが私のダメなところだよなと、自らの野暮さに、やっぱり花森安治にはなれないよなあと、心の中でがっかりするのだった。
ともかくも、「ひるねこBOOKS」さんで置いてもらえることになった「火鉢クラブvol.1」350円よろしくお願いします!
https://www.facebook.com/hirunekobooks/

0 件のコメント:

コメントを投稿